映画レビュー

プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」


映画『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』予告編 - YouTube

これ「ブルーバレンタイ」の監督とその主演が再びってことでして。僕あの映画大好きなんですけどもね。それは余談としてこの映画はまぁでも途中から主役が変わるんでがっつり最初から最後までタッグ組みっぱなしってことじゃないんだけども。三部構成なのかなー。

この邦題、宿命ってのがまぁそりゃそうなんだなぁって観た後に分かると思うんですけど、まあこの邦題のセンスはね、どうなのかなと。要るのかな?って思うんですけどもね。タイトルは訳すると“あの松の木の向こう側”とかなんかそんな意味らしく。そっちの方が観た後にグッと来ます。

本作は察しのいい方なんかはこのタイトルからの含みで、「あ、何やらシックなドラマ性があるような映画なのかしらん」と思われる方もね、居られるんでしょうかね。ばっちりその通りで、簡単に言うとテーマは因果応報なのかなーとか思う。悪いことやったらいつか悪いこと返ってくるよーっていう。
個人的にその因果応報って好きな考え方で、悪口ばっか言ってる人って顔が歳とともに歪んできたりしてて。いつも笑ってて朗らかな人はいつまでも人寂しくない環境にあるみたいなさ。そういうのって結構あると思うんですよね。
かと言って毒の一つも吐けない全く怒らない人って僕は心から打ち解けられないんですけどね。笑

まぁそれはいいとして、この映画は主人公が移り変わるんだけども各主人公達は根っからの善人ではないけども、どこかしらに純然たるもんがあるんですよねぇ。やってることは反社会的なんだけども、なんかね誰かに対しての愛があるんですよ。それぞれが。愛憎劇じゃないんだけど、人間の根底的にあるようなもんもこの映画には含まれてて。愛がある故の過ちみたいな。そういうのが感じられるから切なさが余韻として残るのかな。

ただそうだなぁ大雑把なとこは大雑把でして。色々とつっこめるとこもあるんだけど、長くなるのであれだけど一つ言えるのは警官が犯人を撃ってしまうシーンは伏線っぽく描かれてるようで実はそのまんま後半の話に繋がっていくから、まぁ伏線っちゃ伏線なんだけど謎が含まれた伏線じゃないんだよね。撃ったことに対して普通に取り調べに来るいつもの人じゃなくて、今回は厳しい人がやってくる。主人公も「今回は何故あなたが?」とか言ってる。

そんな事言われて更にそのシーンって瞬間的なシーンで観客によく分からないように演出してて、観てて「あれ?なんか今後の展開に複雑な組織ぐるみのなんたらが絡んでくるのかこの事件」とか思っちゃうクライムサスペンスなのか?!とか思ってたんだけど、それはちょっと違うんだよね。詳しくは書かないけど、そこら辺が僕は紛らわしかったかなと。


ちゃんと警官が発砲するのにはきちんとして手順が必要らしくて。銃捨てろ!とか手を上げて跪け!みたいなさ。このシーンってこの映画の中心点となってる部分だと思うんだけど、ちょっと尾を引くような描き方で主人公もそれを暫く引きずるんだけど、それってちゃんと手順を踏んだかどうかとかが論点になってる割には、その後半へ続く物語にその論点がビシっと絡んできてないの。その事件がもたらした結果のみが絡んできてるようなさ、そういう印象を持ってしまった。何か引っかかる部分ではあった。だからもう少し軽めに描いておいても良かったんじゃないかなとは思ったなぁ。



まぁそこは細かいとこだと思うんで、全体として観ると余韻が残る映画で良かったと思うんですよ。


あと是非観てもらいたいシーンの一つにやっぱりその犯人がバイクで住宅街やら墓地やらを逃げまわり、それを追走するパトカー。こういうシーンがあるんですね。国内でそんなシーンってニュースでもなかなか観れないと思うんですけど、国外ではよくあるみたいで。でもそういうのでもさ、報道ヘリとかが撮ってる映像で、空撮だから上からの俯瞰映像になっちゃってるんだけど、この映画ではカメラを車のどこだろねダッシュボードの上とかにでも固定してんのかな?追いかけている警官目線で観てる側にも伝えてくる演出がなされてて、これが実にリアリティ溢れる映像になっているんですよねぇ!だから揺れとかもそのまんまだから真剣に観てたら確実に酔うんだけどさ。こんなにスピード出して狭い路地とか道を追いかけられるもんなのかぁ~ってぐらいにさ。犯人も最後コケてその寸前にパトカー止めたりしててさ。結構危険なスタントシーンだなとか思って観てました。臨場感が凄かった。これは見どころの一つだとも思うんでね、酔わないように適度に視線外して観てもらいですね。

因果応報としては実は微妙なとこを突いてる映画なんですけども、根本的にあの事件は犯人がどう考えても悪いし、言っちまえばこの映画、逆恨みしてるやつ多いぞって思うんだけど、印象に残る映画ではありました。