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ヒミズ

ヒミズ
解説: 『恋の罪』などの鬼才園子温が監督を務め、古谷実原作の人気漫画を映画化した衝撃作。ごく平凡な15歳の少年と少女の運命が、ある事件をきっかけに激変する過程を園監督ならではの手法で描き出す。主人公に『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』の染谷将太、ヒロインに『劇場版 神聖かまってちゃん/ロックンロールは鳴り止まないっ』の二階堂ふみら若手実力派を起用。自身も原作のファンだという園監督が創造する新たなる人間の心の闇から目が離せない。(シネマトゥデイ)


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若干のネタバレ含んでるのでご注意を。

原作も読んだことがあるんですけど、結構別モノで比較して観るべき映画でなかったですね。比較しちゃうと映画はちょっと希望の押し付け方が安っぽいというか。「ヒミズ」はもっと絶望的で、だからこそあのラストなわけで、普通じゃないんですよねもう病気レベルなんですよね主人公の住田の心ん中って。
喪失感とか虚無感が凄まじくて、医療機関に携わって入院とかしないと無理。プロに託さないと無理な話なんですよね住田を回復させるのって。
それをもうちょいその住田の心情とかを分かりやすい形で描いているのがこの映画で、それでも分かんないだろうけど、まだ噛み砕けるかなぁ〜飲み込めなくてもね。

やはりネックとなっているのは震災が随所に絡んでいるという所で。扱い方は始まりから最後まで所々に入り込んでくるから、そんなに適当に雑に扱っている印象は受けなかったけど、必要なのかな?って疑問が残る人は多いんじゃないでしょうか。
絡めなくても十分ヒミズっていう話は成立しているわけでね。震災が住田を住田にしてしまったとかならまだ分かるんだけど、それと住田の人間性って全く関係なかったわけで。
だから勝手な想像ですけど、これを映画化しようとした時にラストが撮る前とかから決まってたのかなぁ〜って。あのラストってやっぱりどう観ても住田自身にも被災者にも呼びかけてるようにしか聞こえなかった。
分からないですけどね、初めから震災を扱いたかったからあのラストにしたのか、ラストが先でそれならば今のこの国の現状も盛り込だ方がいいと思ったのか、はたまた何か別の考えなのか。
でもどうしてもヒミズに絡めた震災映画、もしくはその逆。そのイメージが抜けなかったです。
個人的にはどちらもテーマとしてはそれ一つで十分だと思うので、二つを一つにするのは疑問符が浮かびました。

しかしまぁ今回も暴力と愛が蔓延していると言いましょうか。園監督は今後もこんな感じなのかなぁ。人間の持つ生々しさを表現するのには打って付けの二つだとは思うんだけどね。
でも住田は最後の最後まで今にも暴発しそうなもん抱えても良いようにされてたのに、茶沢さん(ヒロイン)には軽々しく叩いたりしてて、それは茶沢さんが上手く誘発させて自分をはけ口のようにさせていたんじゃないかとは思うんだけど、躊躇なく簡単に叩いちゃうのもどうだろう。
徐々にどつき合うみたいのが自然な気がするんだけども、まぁ彼の不安定な部分が段階踏んでなんておかしな話なのかもしれないけどさ。

茶沢さんは凄くベッタリだったのには驚いた。あれあんな感じでは無かった気がするんだけどなぁ。まぁでもあれぐらいじゃないとこの映画では成立しないかもしれないんだけど。
あと住田は金が無いわりには普通に暮らしていけてるのもちょっとね。映画全体が現実的なもんをテーマにしているわりにはそういう生活感の無さとかは都合がいいというか。
借金の件も、んー、原作憶えてないんだけど、映画では取ってつけたような話だったし、その後返してくれた人にブチギレして絶縁みたいな感じにするのに、最後はなんかそこら辺きっちりさせずに大団円っぽくさせてて分からなかった。


内容的には疑問が残る感じでしたが、演技は素晴らしい。というのも周りを固めてるのは「冷たい熱帯魚」の役者さんばかりだったから。
でもだからと言って主役の二人が浮いているわけではなかった。住田役の渋谷くんなんかもう目からしていいですからね、褒め言葉で覇気のない目が住田らしさを出していたし、茶沢さん役の二階堂さんも凄まじくて圧倒される。しかしまぁ宮崎あおいに似ていた!びっくりするぐらいに。表情もだけど、演技も結構似ててね、セリフの言い回しとかがかな。

この監督の作品は全部そうだと思うけど、昨今のは特にインパクトが強いから何かしら残る。オリジナルでまた撮ってほしいですねぇ〜。
漫画も映画も生き死にの話なんだけど映画は生きる事をもっと強く描かれてるかなぁ〜漫画は淡々としていてね。だから些細な話だけど、髪の毛ね、もうちょい伸びてほしかった。泥に塗れて汚いとかじゃなくて、着るもんとか髪とかシーン変わると小奇麗になっちゃってるのはおかしい。その点は惜しかったと思うんですよねぇ。

昨今「頑張れ」っていう言葉に対しての風当たりが強いですよね。それは皆頑張ってて頑張り過ぎてるからなんですけども、この映画を観てこれだけ芯を食ってる「頑張れ」はなかなか観れないんじゃないでしょうかね。中途半端な励ましじゃない、心からの叫びを口にした一言としてある「頑張れ」。これは本物でした。